ハンガリー北東部エンチュ(Encs)にある人気レストラン「アニュカーム・モンタ」(Anyukám Mondta)

ブダペストから北東へ車で約2時間10分。スロヴァキアとの国境にも近いエンチュ(Encs)という小さな町に、「アニュカーム・モンタ」(Anyukám Mondta)という名のレストランがあります。ハンガリー語で「お母さんが言ってた」という意味の名のお店、人口6,254人(※2018年1月現在)という本当に小さな町にあるにも関わらず、ハンガリーのレストランランキングで毎回上位に入るほどの名店とのこと。私自身友人に連れられて今年の4月に初めて訪れたのですが、素材の美味しさを味わえる絶品料理の数々にすっかり魅了されてしまい、10月にも再訪してきちゃいました。
(訪問日:2018年4月30日、2018年10月19日)

店内の雰囲気

ハンガリー国内はもちろん、国外からも美食家たちが足繁く訪れる人気店とのことなので、事前の予約は必須。というわけでお店に電話をかけてみたところ、予定した日が満席のために別の日の予約となりました。さすが。そして当日、友人の車でGoogleマップを頼りに該当住所の場所に向かい、こちらの建物に到着。

手前も奥も別のお店のようでしたが、角にあるライトイエローの壁に近づいてみると、

こんなに小さな入口を発見しました。なんだか知る人ぞ知る隠れ家といった佇まいです。


店内に入ってすぐの区画は物販コーナーとカウンター。その向こうに化粧室があります。

予約していた席がまだ空いていないとのことでしたので、ここでレモネードを飲みながら待ちました。公式ホームページによると、もともとはイタリアのレストランで活躍していたシェフ兄弟が、一旦はニューヨークに移った後に故郷に戻り、このお店をオープンしたとのこと。最初はこのカウンターから始まり、次にピッツェリアコーナーを設置、そしてレストランへと少しずつ拡大してきたそうです。


ウエイターに案内されて、ピッツェリアコーナーを経て奥のテーブル席へ。

ちょうど石窯の前で職人が生地をこねているとことでした。その華麗な手さばきも見事でした。


間口が狭いのですっかり小さなお店だと思い込んでいたのですが、奥に進むと意外に広々とした開放的な空間。




外には居心地の良さそうなお庭がありました。




全体的にアットホームな雰囲気で、小さなお子さま連れのお客さんもちらほら。壁の大きなブラックボードには、今日のオススメ料理とぴったりのワインとが記載されていました。




運転のためアルコールを飲めない友人の分も、ハウスワインの赤ワインピノ・ノワールで、乾杯です。

注文したメニュー

まずは前菜に、選べる3種の盛り合わせ(ÍZELÍTŐ A KAMRÁBÓL, BÁRMELYIK HÁROM 2,590フォリント)をシェア。

リストの中から3種を選べるので、パルマハムにパンツェッタ、ドライトマトにしました。さらに焼きたてのグリッシーニと自家製ピクルスが付いているので盛りだくさんです。メニューには「グリッシーニ」(GRISSINI)とありましたが生地はとってもふわふわで、ハムを巻き付けながらいただきました。


次に私だけスープメニューより、パローツレヴェシュのミニサイズ(KIS PALlÓC LEVES 1,090フォリント)も注文。

このスープはハンガリーの名物料理のひとつ。ゴロゴロとしたジャガイモとインゲン、そして羊肉がたっぷり入っていて、グヤーシュとはまた違ったスパイスの味わいがありました。クセがあるわけではないのですが、独特で不思議な風味でした。


メインにはブラックボードのメニューより、マンガリツァ豚の肩ロースとほほ肉、パプリカ風味のジャガイモと、キュウリのサラダを添えて(MANGALICA TARJA ÉS POFA, PAPRIKÁS BURGONYA, UBORKA SALÁTA 3,990フォリント)。

とても上品な盛り付けでやってきました。「ハンガリーの食べる国宝」とも呼ばれているマンガリツァ豚、とっても柔らかい食感かつ絶妙な美味しさに仕上がっていて、赤ワインもついつい進んでしまいました。


そしてそして、一番のお楽しみだったのが石窯で焼き上げるピッツァ。クルード・エ・グラーナ(CRUDO & GRANA 2,490フォリント)というパルマハムとパルメザンチーズのピッツァを注文したところ、

焼きたてアツアツの状態でどどーんと豪快に登場。贅沢にたっぷりのパルマハムとパルメザンチーズ、その上には鮮やかな緑のルッコラがトッピングされていました。もうその見た目と香りだけでかなりのレベルまで期待が高まっていたのですが、ひと口食べるとその期待をはるかに上回るような美味しさ! ふんわりとした食感の生地は小麦粉の素朴な味わいが活きていて、塩気のあるパルマハムと軽やかなコクのパルメザンチーズ、そして爽やかな苦味のルッコラとの四重奏、まさに文字通り極上の美味しさでした。こんなに美味しいピッツァ、人生で初めて食べたかもしれません。


ちなみに10月訪問時には、メインにこちらのラガチョシュ・オルダラシュ(RAGACSOS OLDALAS 1,990フォリント)という粘り気のある表面に仕上げた豚肉のバラ肉を注文。

この粘り気の正体はハチミツ。豊かな風味のハチミツの甘さと豚肉との相性が抜群でした。

店舗情報・アクセス

住所:3860 Encs, Petőfi Sándor utca 57, Hungary
電話番号:+36-46-587-340
公式ホームページ:http://www.anyukammondta.hu/index2_en.html
アクセス:
・鉄道駅 フォッロー・エンチュ駅(Forró-Encs)より、徒歩12分

あとで別の友人に聞いたのですが、食材は地産地消を基本コンセプトににかなり厳選して仕入れているそうです。美味しさの秘密は熟練のシェフの見事な調理技術のほかに、食材そのものにもあるのかもしれません。ブダペストからはちょっと遠いのですが、それでもわざわざ足を運ぶ価値がある名店です。いつか、もっと大勢で行ってピッツァ数種類を食べ比べできたらいいなと思います。

※情報は訪問日時点のものであり、変更されている可能性があります。